会社を設立するメリット(経費による節税)

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

今回は前回と同様に、会社を設立した際の節税効果、特に経費について考えてみたいと思います。

いろいろな出費を経費できます

個人事業に比べて会社の方が、経費として認められるものが格段に増えます。代表的なものは次のとおりです。

社宅に住むことにより家賃を経費に計上

会社で社宅を借り、そこに社長やご家族が住むことにより、節税することができます。具体的には、会社名義でアパートを借り、そこに社長やご家族が住むのです。そうすることにより、家賃の一部を経費にすることができます。

社長(役員やその家族を含む)であれば、アパートの広さにもよりますが、家賃の半額から8割程度が会社の経費になる可能性があります。

ここでのポイントは、会社名義で借りる、ということです。会社名義で借りなければ経費にできません、アパートやマンションによっては、会社名義で貸さないところもありますので、事前に確認が必要です。

なお、個人事業でも自宅家賃の一部を経費にできますが、あくまで執務スペースがある場合に限られます。その意味では、会社の方が経費になる幅が大きいと言えます。

出張手当を経費に計上

個人事業の場合は、出張先で支払った交通費、宿泊費、先方との飲食代は必要経費になります。ですが、お給料と同じ考え方で、自分から自分へ出張手当といった日当を支払うことはできません。

ですが、会社ですと、会社から自分(社長)へ出張手当を支払うことが可能です。1日あたり1万円といったようにです。この出張手当、適正額であれば給与にはなりませんので、個人の方にも税負担はありません。

出張が多い会社は積極的に利用したいところですが、きちんと旅費規程を作成し、さらに出張報告書や旅費精算書も提出させ、それらに基づいて支給することが大切です(社長の気分で日当を上下させてはいけません)。でないと税務署からダメと言われてしまいますので。

社長やご家族の生命保険料を経費に計上

個 人事業の場合は、生命保険をいくら支払っても、個人事業の経費になりません(一部、経費になるものもありますが、限定されます)。代わりに生命保険料控除という制度がありますが、控除枠がそれぞれ4万円で、いくら払っても、最大で12万円しか控除できません。

ですが、会社の場合は、支払った保険料の一部(半額~1/4程度)を会社の経費にすることができます(中小企業の場合、社長を被保険者・保険金受取人を会社、とされている場合が多いです)。

保険料の一部を会社の経費にでき、さらに万が一の時の保障も手に入れる。事業が軌道に乗ってきたら、会社で生命保険を加入するとよいかもしれません。

経費として認められる枠が広がる

交際費を支払う、会社で資産(自動車等)を購入する、といった場合も、個人事業よりも会社の方が、経費として認められやすくなります。というのも、個人事業では「収入と直接結びつくものだけが経費となる」という法律があるからです。

他にも節税メリットはあります

この他にも節税メリットはあります。

欠損金の繰越期間が伸びる

個人事業であれば、最大で3年間しか赤字を繰り越せません。ですが、会社の場合は最大で赤字を9年間も繰り越すことができます。もちろん、赤字を出さないことが何よりですが、販売不振等があって一時的に赤字になった場合は、とても助かりますね。

また、ご注意頂きたいのですが、青色申告の届け出(青色申告の承認申請書)を出し忘れている会社様が結構いらっしゃるということです。会社を設立した場合、この書類を出しておきませんと、赤字は繰り越せません。提出期限は会社を設立した日から原則3ヶ月以内(もっと早い場合もあります)になります。必ず確認してください。

消費税に係わる節税

個人事業から会社にした場合は、消費税が2年間免除される可能性があります。

個人事業を開始されたとき、最初の2年間は消費税が免除され、早くても3年目からお支払いになったはずです(ただし、今は特定期間といって2年目から消費税がかかる可能性があります)。

これと同じで、会社も設立して2年間は消費税を払わなくても良い可能性があります(上記と同じく特定期間といって2年目からかかる可能性があります)。ただし、資本金が1,000万円未満であることが条件ですから、会社設立の時は、見栄をはらずに、資本金を999万円以下にするとよいでしょう。

 

この他にも、税額控除(一定の資産を購入すると会社の税金が安くなる)といった税金面でのメリットが多くあります。事業が軌道に乗ったら、会社設立を真剣に検討されてみてくださいね。

※本記事に関する無料相談はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。