不動産収支分析

1.不動産収支分析

(1)サービスの概要

アパート経営や駐車場経営をされている方が、常日頃抱えていらっしゃる問題として「お金が貯まらない」ということがあるかと思います。
お金が貯まらないのは、以下の様な原因が挙げられます。

  • 家賃収入の減少(築年数経過、ライバルの増加による空室率の増加、家賃の引き下げ)
  • 借入金返済が追いつかない
  • 管理業者への支払いが高すぎる
  • 税金が高い
  • 生活費や遊興費の使いすぎ

お金が貯まらないことについて、実際はどれが原因なのか、きちんと分析されている不動産オーナー様は、極めて少ないと考えられます。

そこで、弊事務所では、お客様のご希望により、不動産収支分析表を用いた不動産収支分析サービスを行っております。

不動産収支分析表は、キャッシュフロー表(お金の流れを把握する)と、所得計算表(税金の計算)という二つの表を載せた、極めてシンプルなものになっております。

税理士がお客様からお聞きした事項を、一つ一つ確認しながら入力して作成します。この分析表により、次のような事が分かります。

  • お金が足りない原因が明確に分析できる
    (税金が高い、管理費用が高い、家賃収入が少ない等)
  • 過去の収支と照らし合わせることにより、将来の予測が立てやすくなる
    (数十年にわたった資金繰りや、税金の予測を立てることができます)
  • 修繕費にいくらまで充てられるかがわかる(とても大切なことです)
  • 生活費がいくらまで使えるかが分かる(無駄遣いが原因かもしれません)

この分析表を使いながら、お客様の現在の問題点を洗い出し、解決の糸口といたします。

(2)問題解決の方法

問題点が分かったら、あとは解決するだけです。といっても、簡単に解決できる問題から、一朝一夕には行かない難問まで様々です。
弊事務所では、お客様と連携を密にして、問題解決のお手伝いをさせて頂きます。

なお、問題解決のための基本的な考え方は次のようになります。

一般的な考え方ですので、実際の解決には、信頼できる税理士や不動産業者に事情をご相談してから実行することが大切です。

1-空室率が高くなっている、家賃引き下げ要求を受けている

都心では賃貸アパートの空室率が年々高まっています。特にバブル期に建てた築20年~30年程度の賃貸アパートは、余っているのが現状です。
その対策としては、賃料の適正化、間取り変更、募集条件の変更等、といった方法が一般的だと思います。

地主様や不動産オーナー様の中には「貸してやっているんだ!」というお気持ちが大変強い方がいらっしゃいます。
バブル期までであれば、その認識は間違ってはおりません。
何もせずとも、銀行と不動産会社が音頭をとって、何から何までやってくれましたし、賃貸物件も地方からの若者の大量流入により常に満室、といった状態でしたので。

しかし、現在は少子高齢化、常態化した不景気による地元回帰、その他様々な理由により、アパートは空く一方です。
この対策として、他の物件との差別化、特にリノベーション等の維持修繕を積極的に行い、他の物件との差別化を図る、といった方法が最も有効だと考えられます。

修繕を行うといっても、物件ごとに特徴があり一概には言えません。
一般論ですが、費用対効果が高いのが、エントランス(ポスト等含む)、階段、エレベーターの改修といわれています。
特に、エントランス入口には注意してください。物件の顔です。
エントランス入口の床タイルが割れていた、といったことがあれば、内見にきた方の第一印象はかなり悪くなります。

また、思い切って間取りを変更するといった方法も考えられます。
昔ながらの日本人は、持ち家に相当こだわりがありましたが、現在は多様化社会により、一生涯賃貸住宅でも構わない、という家族も多くなってきました。
そこで、一人暮らし用の1LDK専用アパートを2LDK等の家族向きアパートにしてしまう、といった方法もあるでしょう。

また、逆手を取って、多額の改装費をかけるよりも、家賃を値下げして満室にした方が、実質の手取りが増える場合があります。
そのあたりも分析しながら決定しなければなりません。 

いずれにせよ、信頼できる専門家に相談することが先決です。

2-管理会社への支払いが高いと思う、業務内容に不満を感じている

管理会社へ支払う管理料の相場は、一般的には家賃の5%~8%程度と言われています。この相場より明らかに高額であれば、見直し対象としましょう。

そして、管理会社の業務内容もしっかりとチェックすべきです。
清掃の頻度が多すぎないか、管理員がしっかりと物件を見回っているか、対応スピードが遅い、担当者がコロコロ変わる等。
最近の管理会社は、きちんと写真撮影して、点検記録を残しますが、まだまだ記録を残さない、昔ながらの業者が多いのも現状です。

管理会社の善し悪しは一概にはいえず、それぞれ得手不得手があります。大規模物件が得意の管理会社や小規模物件が得意な管理会社もあります。

疑問点、不満な点があったら、いくつかの管理会社から見積もりをとって比較してみましょう。

3-税金が高い

節税に関しては、不動産オーナーのための節税のページをご覧ください。

ポイントは、現在支払っているもののうち、経費となるものを探すということに尽きます。
また、不動産所得以外の所得(お勤めで給与がある方、多額の年金を受け取っている方)は、不動産所得と合算されてしまい、どうしても所得税が高額となりがちです。
そのような方は、不動産管理会社の設立を検討されてみてはいかがでしょうか。

4-借入金返済が追いつかない

銀行借入により賃貸アパートを建てたのであれば、銀行にリスケ(リスケジュール。返済計画をのばしてもらうこと)をお願いするという選択肢もあります。
ただし、銀行からの格付けは落ちる可能性があるので、銀行に相談する際は慎重に行ってください。

銀行の基本的な考え方として、「建物の耐用年数のなかであれば、返済を伸ばしてもかまわない」と考えます。(もちろん一概には言えませんが)
そのため、アパート建物の耐用年数が30年であり、返済が25年間であれば、5年分、返済期間を伸ばしてもらえるかもしれませんので、ご検討されてみてください。
 

上記以外にも、相続対策、物件価値の下落、新たな投資物件の選定方法等、問題は山積しています。まずは、オーナー様が問題意識を持たれることが大切です。「貸してやる」のではなく「借りていただく」という意識改革から始められることが大切だと思います。