不動産管理会社をどのタイミングで作ったら良いか?

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

こんにちは。中央区で税理士をしている石橋です。
最近、不動産管理会社についてのご質問を多く頂きます。

書籍や新聞でも、「不動産管理会社を作れば節税になる!」といった記事を良く目にします。

確かに、不動産を多くお持ちの方は、不動産管理会社を作ると節税になります。
ですが、節税にならない場合も多く、逆に設立費用や税理士費用等で、費用倒れになってしまうことも多々あります。

私自身も、費用倒れなっている不動産管理会社(費用ばかりかかっていて、意味のない不動産管理会社)を終了させるため、解散させたこともあります。
解散させるにもお金が必要です。
ですから、不動産管理会社を設立する前に、きちんと検討しておきましょう。

そこで、いくら以上の収入であれば不動産管理会社を作るべきか、判断のポイントをまとめてみました。

家賃収入でいうと最低1,000万円以上・利益(所得)だと最低500万円以上

不動産管理会社を設立して、個人から会社へ、不動産の利益を移す。
そして、ご本人やご家族へ給料として払う。

そのような仕組みなのですが、ご注意頂きたいのは、移す利益が少ないと意味がない、ということです。

一概言えませんが、目安として、家賃収入1,000万円以上、利益(課税所得)が500万円以上は必要になります。

不動産管理会社の仕組みは上記のようになります。

つまり、不動産収入から生まれる、個人の利益(所得)を会社に移し、それをお給料として支払って節税する、というのが基本的な流れになります。

ですから、家賃収入が少なすぎると移せる利益がないので意味がない、ということになります。このことをご理解頂いていない方がとても多いです。

具体的にはどうやって利益(所得)を確認すればよいのか?

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不動産所得の確定申告をされている方は、青色申告決算書(不動産所得用)を確認してみてください。

ここの、19番(差引金額)が、青色申告控除前の利益(所得金額)になります。

ここの金額が、最低でも500万円以上、できれば1,000万円に近い金額でないと、設立する意味は薄いと思われます。

なぜなら、不動産管理会社を設立しますと、次のようなデメリットが発生するからです。

  1. 不動産を会社に移す際のコスト(登録免許税等)がかかる
  2. 均等割(赤字でもかかる税金が発生する)
  3. 社会保険料の一部を会社が負担しなければならない
  4. 会社設立費用、税理士への申告費用がかかる

特に、1.の登録免許税の負担や、3.の社会保険料の負担が大きいです。

家賃収入が1,000万円ですと、ここの19番の金額は、100万円~300万円程度?かと思います。
(減価償却費や借入金利子といった経費があるため)

その状態であれば、他に給与収入があったとしても、今まで通り確定申告をしていた方が、費用面から考えても有利となりますので、基本的には不動産管理会社を設立しないほうがトクです。

ですが、相続税対策のために家賃収入が少なくても不動産管理会社を設立する、といったケースもありますので、一概には言えません。

このあたりの判断はなかなか難しいところではあります。

なお、不動産管理会社は大きく分けると3種類に分けられますが、詳しく知りたい方は、次のの記事をご覧ください。

不動産管理会社の方式(管理委託方式)

不動産管理会社の方式(一括転貸方式)

不動産管理会社の方式(不動産保有方式)

 

当事務所では、不動産管理会社の検討以外にも、不動産オーナー様向けの確定申告も行っております。

※本記事に関する無料相談はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。