不動産管理会社の方式(一括転貸方式)

IMG_7986-1.jpg

税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

今回は、不動産管理会社の方式の二つ目、一括転貸方式について解説していきましょう。

一括転貸方式とは?

一括転貸方式とは、個人が不動産を会社に一括で貸し、会社が各入居者と個別に契約する方式をいいます。サブリース方式とも呼ばれています。簡単にお示しすると、次のようになります。

   「個人(不動産オーナー)」 → 「会社」 → 「各入居者」

転貸とは、要するに「また貸し」です。一括で会社に貸して、会社は各入居者にまた貸しするのです。

各入居者からの家賃は、まるまる会社に入ってきて、そのなかから、管理料を引いた分を、個人(不動産オーナー)に支払います。

メリットやデメリットについて

各入居者と個別に契約する必要がある

一括転貸方式は、「個人と会社」、「会社と各入居者」の2つの契約を結ぶことになります。

「個人と会社」の契約は特に問題はないでしょう。身内同士で契約を結ぶのですから。

問題なのは、「会社と各入居者」との契約です。当たり前ですが、各入居者は他人です。入居した際に、「個人と各入居者」との間で、賃貸借契約を結んでしまっています。

これを、「会社と各入居者」との契約に変更してもらう必要があります。入居者にとっては面倒なだけですので、お願いする、という姿勢で契約を変更してもらってください。

なお、なかには協力的でない方もいらっしゃいますので、「ご協力頂きました際には、粗品ではありますが、コンビニで使えるクオカードを差し上げます」といって、お願いすれば、だいたいの場合、上手くいくかと思います。

また、切り換え時期は、できるだけ統一して決めた方がよいでしょう。期限に余裕をもって、契約書に「*月*日現在で切り換える」という一文を入れ、切り換え日を同じ日にすると家賃の管理がラクになります。

節税効果は中程度

会社が個人からもらう管理料は、管理委託方式よりは多くすることができます。というのも、一括で借り上げているので空室リスクは会社がとる形になるからです。

では、管理料はいくらまで取ることができるのでしょうか?

事情によって様々ですが、一般的には、「各入居者からの家賃収入×10%~15%」をとることができると言われています。

年間家賃が2,000万円であれば、「2,000万円×15%」で300万円の所得を移すことができますが、この金額ですと、節税効果は低く、会社の維持費用が高くついてしまいます。

できれば、年間家賃は最低でも3,000万円~5,000万円以上は欲しいところではあります。

その他の問題点

各入居者と契約を結ぶ際の注意点

一括転貸方式を行う際の注意点は、これだけではありません。各入居者との契約書にも気を配る必要があります。

弊事務所の顧問先様で、実際にあった事例です。

その顧問先様は、最初は税理士に頼みませんでした。新築ビルを建て、会社を設立し、ご自分で一括転貸方式を始められました。
各入居者との契約は、街の不動産屋さんに頼みました。その契約書では、以下のことについて触れられていませんでした。

  • この契約が転貸契約(また貸し)であること
  • 個人(不動産オーナー)と会社との一括賃貸契約が終わったら、自動的に、個人(不動産オーナー)と各入居者との契約に切り替わること
  • 上記のように、個人(不動産オーナー)と各入居者との契約に切り替わったら、連帯保証人との保証契約も自動的に切り替わること

まずは、この契約が転貸契約であることを、各入居者に知らせておかなければなりません。入居者にとっては、貸し主が誰であるかなんて気にしないでしょう(特に賃貸アパートでは、ほとんどの入居者が気にもとめないでしょう)。ですが、将来、個人と会社との一括賃貸契約が終わったら、貸し主が変わる可能性についても触れます。貸し主が変わったら、敷金を返してもらう相手も変わります。そのため、あらかじめ記載して説明しておく必要があります。

さらに、個人と会社との一括賃貸契約が終わったら、連帯保証人との保証契約も切り替わる旨を記載しておく必要があります。
万が一、この文章が抜けていたら、個人と会社との一括賃貸契約をやめる際、保証人から改めて保証契約の切り替えに同意する旨の書類をもらう必要がでてきます。

税理士でも、このあたりは見落としやすい部分です。
各入居者との契約は、「賃貸借契約」と「保証契約」の2つからなる点を忘れてはいけません。

特にワンルームですと、連帯保証人は田舎の両親、といったこともあります。自動的に切り替わる旨の説明書きがない場合は、田舎の両親のところから印鑑をもらう必要が出てきてしまいます・・・。

実際にお仕事をする必要がある

これは、管理委託方式でのご説明と同じです。会社の人間が、実際に管理に携わる必要があります。

また、管理委託方式と違う点として、修繕費の負担が挙げられます。

建物本体に関係する維持修繕費は、個人(不動産オーナー)が従来通り、負担すべきです。

ですが、入居者入れ替えの際のルームクリーニング代等、一部の修繕費は、会社側で負担すべきものになるでしょう。

このあたりは、きちんと契約書で会社側はどこからどこまでの修繕費を負担すべきか、明確にしておくべきです。

 

 

一括転貸方式は、管理委託方式よりも手間がかかりますが、その分、より多くの管理料をもらうことができます。
当然、節税効果も、より高くなりますので、不動産収入が多い方は、検討されてみることをおすすめ致します。