国外財産調書の効果について

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

不動産投資をされている方の中には、海外財産をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。今回は、それに直接関係する「国外財産調書」について、ご案内させて頂きます。

今までの制度はどうなっていたか?

もうご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、国外に一定金額以上の財産をお持ちの方(5千万円超)は、毎年3月15日までに、国外財産リストを税務署に提出しなければならなくなりました。この制度を国外財産調書制度といい、平成26年3月15日期限分から適用になります。

今までも類似の制度がありました。「財産及び債務の明細書」という書類です。この書類は所得金額が2千万円を超えた方について提出義務がありました。

財産及び債務の明細書の目的は、大きく二つあると言われています。

一つ目の目的は、所得の計上漏れを発見するためです。財産及び債務の明細書に賃貸不動産が記載されているのに、不動産所得があがっていなかったら、おかしいですよね?それらをチェックする目的があります。

二つ目は、将来の相続税調査のためです。所得金額が2千万円を超える方は、要するに「お金持ち」です。これらの方が亡くなった時に、相続税調査の資料とするのです。そのため、提出された財産及び債務の明細書は、数十年以上、ずっと税務署に保管されることになります。

しかし、財産及び債務の明細書の提出制度には、致命的な欠点があります。それは未提出や記載ミスがあっても、罰則がない、ということなのです。もちろん、提出しないと、税務署から「提出してくださいね」というお手紙がきます。しかし、無視しても罰則はありません。また、記載ミスがあっても、おとがめもありません。そのため、正直者が損をする制度であると言えましょう。

国外財産調書とは・・・

ところで、相続税が課税強化の方向に動いていることは、皆様もご存じのことでしょう。特に、海外財産ならば税務署は補足しにくいため、財産をどんどん海外に移す方も増えてきました。

そこで「国外財産調書」という制度が考えられました。国外財産を5千万円超お持ちの方は、国外財産の一覧を「正確に」記載して、提出しなければなりません。未提出や記載ミスがあると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

この制度が始まることで、海外銀行に預金をお持ちの方の利子所得の捕捉率があがると言われています。海外銀行に預金をお持ちの方(海外銀行の日本支店ではなく、海外銀行に直接預金を持っている方)で、日本に住んでいる方は、その受取利息を「利子所得」として、日本で確定申告し、所得税を納税しなければなりません。しかし、きちんと申告している方は、はっきりいって少ないのではないでしょうか?

国外財産調書をきちんと提出すると、その中に海外銀行預金が記載されます。そうなると、利子所得が申告されていないのは、おかしいよね?と税務署は考えます。

弊事務所の顧問先様でも、海外預金をお持ちの方がいらっしゃいますが、きちんと申告しております。また、今までの財産及び債務の明細書にも、きちんと記載もしております。というわけで、正しい申告を心がけていれば、何も心配いりません。国外財産調書という提出書類が一つ増えただけになるからです。普段から、正しい納税を心がけたいものですね。

※本記事についてのご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。