相続税は誰にかかるのですか?

質問

母が亡くなりました。
相続人は、私(長男)、妹の2人です。
(父は15年前に、既に亡くなっています)

遺産は、自宅と預金と若干の株式です。ざっと見積もると1億円程度になるかと思います。

妹と、どのように財産を分けるかの話し合いをしています。
その結果、「8:2」の割合で、私と妹と遺産分割の話し合いがまとまりそうです。

ところで、知り合いの税理士先生に聞くと、どうやら私たちには相続税という税金がかかるようです。
相続税は誰に、どのようにかかるのですか?

回答

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

日本では、遺産をもらった人が相続税を払うことになっています。

そのため、遺産をもらった、あなた(長男)と妹さんに相続税という税金がかかります。
相続税は、原則として、相続が開始した日(母上がお亡くなりになった日)から10ヶ月以内に、税務署に支払う必要があります。

また、相続税は遺産をもらった割合で払いますので、「8:2」の割合でお支払いすることになります。

 

相続税は、大きく分けて、つぎの2つの方法による課税方式があります。

  • 遺産税方式
  • 遺産取得税方式

(1)遺産税方式

遺産税方式(遺産税体系といった呼び方もあります)とは、遺産そのものに税金をかける、という方式です。
主に、米国(アメリカ)で採用されている方法で、遺産に税金をかけ、税金を払った残りの遺産を相続人に分配する、といった方式です。

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(2)遺産取得税方式

これに対して、遺産取得税方式(遺産取得税体系とった呼び方もあります)という方式があります。
これは、遺産を先に分配し、遺産をもらった方それぞれが、そのもらった遺産についての相続税を払う、といった方式です。

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日本では、この方式で相続税を計算することになっています。

ですが、この方式の問題点として、遺産の分け方によって相続税の合計額が変わる場合があります。
例えば、今回のケースですと、長男が100%もらう場合と、長男と長女で50%ずつもらうとでは、相続税の合計額が変わる場合があります。
というのも、日本では、超過累進税率(たくさん財産をもらうと、どんどん税率が上がる)のため、本当は長男が100%なのに、仮装して長男と長女とで50%ずつと、嘘の税務申告をする可能性があります。

そのため、どのような分け方であっても、同じ家族構成であれば、相続税の合計額が変わらないよう、「法定相続分による遺産取得税方式」という方法により計算しています。
(ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減で変わる可能性はありますが)

 

相続税が誰にどれくらいかかるのか?

次のケースを想定して考えてみましょう。

  • 相続税の合計額・・・1,000万円
  • 遺産をもらう割合・・・長男8割:長女2割

このケースの場合は、つぎのようになります。

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上記の図のとおり、1,000万円を、8対2の割合で按分することになりますので

  • 長男は800万円
  • 長女は200万円

の相続税がかかることになります。

 

相続税を長女が払わない場合は?

相続税は、相続が開始してから10ヶ月以内に、

  • 相続税を計算した結果の書類(相続税申告書)を税務署に提出する
  • 相続税を税務署に支払う

この2つをしなければなりません。

ところで、長女が相続税200万円を払わない場合は、どうなるのでしょうか?

この場合は、税務署は、まず長女に「200万円をすぐに払いなさい」というお電話をして、さらに督促状を出します。
それでも払わない(払えない)場合は、税務署は長男に
「長女の相続税200万円を長男が肩代わりして払いなさい」
と言ってきます。

何故かと言いますと、そのような法律(連帯納付義務)という法律があるからなんですね。

税務署はこう考えます。
「相続税はタダでもらった財産についてかかる。それを払わないとは何事だ!であれば、他に財産をもらった人から取り立てよう!」

おっしゃっていることは、まさにその通りなのですが、税務署に取り立てられた長男はたまりません。
ですから、ご長男は、自分の相続税800万円だけでなく、妹さんの200万円まで、きちんと払ったか、気を配る必要があるわけです。

まとめますと、

  • 相続税は遺産をもらった人にかかる
  • 相続税遺産をもらった割合で負担する

ということになります。

税務署も、「自分で相続税を計算してみましょう」ということで、色々なパンフレットを作成していますが、ご自分で計算しますと、多く税金を払ってしまう可能性がありますので、不安をお感じの方は、税理士に任せた方が安心です。

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。