遺産分割協議書の書き方は?(何を書けばよいか)

質問

父がなくなりました。家族は母と長男である私、そして弟2人(次男と三男)がいます。

父が亡くなりました。
相続人は、母、私(長男)、弟の3人です。

おかげさまで3人とも仲が良く、遺産の分け方については、すんなりと話し合いがまとまりました。

ところで、遺産分割の話し合いをまとめた書類(遺産分割協議書)というものを作る必要があると聞きましたが、どのように作れば良いのでしょうか?
また、専門家の先生にお願いせずとも、自分たちで作れるものでしょうか?

なお、家族構成は次のとおりです。

  • 被相続人・・・父(鈴木太郎)
  • 相続人・・・・・母(鈴木花子)
  • 相続人・・・・・長男(鈴木一郎)
  • 相続人・・・・・次男(鈴木二郎)

回答

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

お母様とお子様3人が、父上の遺産を相続することができます.

遺産分割協議が終わりましたら、その内容を記載した書類、いわゆる「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
書き方は比較的自由ですが、いくつかルールがあります。

具体的にご説明していきましょう。

 

遺産分割協議書の書き方は、比較的自由なんですが、最低限、書かなければならない情報があります。

遺産分割協議書

 被相続人鈴木太郎(平成28年2月22日死亡、本籍地東京都**市*町**丁目**番地)の遺産について、共同相続人鈴木花子、鈴木一郎、鈴木二郎の全員による遺産分割協議の結果、次の者がそれぞれの財産を取得することとなった。

1.相続人鈴木花子が取得・承継する財産・債務
  (1)土地
   所在及び地番:東京都**区**町一丁目11番11
   地目:宅地
   地積:111.11㎡
 (2)建物
   所在:東京都**区**町一丁目11番11番地
   家屋番号:11番1の2
   種類:居宅
   構造:木造瓦葺平家建
   床面積:123.45㎡
 (3)債務及び葬式費用
   債務及び葬式費用の一切

2.相続人鈴木一郎が取得する財産
 (1)現金
   東京都**区**町一丁目11番11号にある現金
 (2)銀行預金
   **銀行**支店の普通預金

3.相続人鈴木二郎が取得する財産
 (1)有価証券等
   **株式会社の株式 100株

上記のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するために本書を作成し、次に署名押印する。

平成28年7月7日

東京都**区**町一丁目11番11号
相続人 鈴木花子(実印)

東京都**区**町三丁目3番3号
相続人 鈴木一郎(実印)

東京都**区**町五丁目5番5号
相続人 鈴木二郎(実印)

1.亡くなった方を特定できる情報を記載する

まず、お亡くなりになった方を特定できるようにします。
具体的には、お亡くなりになった鈴木太郎様の情報を記載します。

「平成28年2月22日死亡、本籍地東京都**市*町**丁目**番地」

このように、戸籍謄本に記載された情報をもとに、いつお亡くなりになったのか、その方の本籍地がどこなのかを記載します。
この情報は必須ではありませんが、銀行や証券会社で財産の名義変更をする際、記入しておいた方が、先方の担当者も確認しやすく、手続きがスムースに進みます。

2.不動産(土地・建物)は地番等を正確に記載する

財産の内容は、きちんと記載する必要がありますが、特に不動産(土地・建物)がある場合は、ご注意ください。

不動産を名義変更するには、法務局に遺産分割協議書を提出します。
(遺産分割協議書以外にも、登記申請書、固定資産税評価証明等、他に必要な書類もあります)

法務局の方は、どの土地が相続されたのか、遺産分割協議書を見て判断します。
ですので、土地の場所(所在)や面積が分からない、正確に記載されていないといった場合は、名義変更の手続きができないことになってしまいます。

なお、土地の場所の表記には、「地番(ちばん)」「住所(じゅうしょ)」があります。
簡単に言いますと、地番は公的な住所、住所は私的な住所といえるでしょうか。

ほとんどの方が、住所しか書いたことはないでしょうが、土地や建物の所在は地番で書くことになっています。
ですから、法務局から土地と建物を取り寄せて、土地建物の情報を一字一句、間違えずに書きましょう。

また、土地の面積や、建物の家屋番号も、役所の方がきちんと特定できるよう、こちらも一字一句正確に書いておきましょう。

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3.自署(サイン)と押印(実印)をする

遺産分割協議書の最後に、相続人全員の署名と押印をするのが、実務上の慣行となっています。
というもの、相続人がサインすることにより、きちんと本人の意思を確認した証明になるからです。

また、押印は実印でお願いします。
銀行や不動産登記で手続きする際は、印鑑証明を提出しますので、そちらの印鑑と同じ印鑑(実印)であることが求められるからです。

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遺産分割協議書の一般的な書き方についてご説明してきました。
遺産の内容が複雑である、多くの借金がある、といった特別な事情がなければ、ご自分でも遺産分割協議書を書けるかと思います。
ですが、内容に不安をお感じの方は、多少の費用を払ってでも専門家に依頼した方が安全といえます。

当税理士事務所(中央区日本橋)では、相続税申告をご依頼頂いた方に、遺産分割協議書の作成も行っております。
相続税が発生しそうな方は、相続に詳しい税理士にまとめて依頼する方が安心です。

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。