非課税取引

消費税では、取引の性格上や政策上の理由等により、消費税かかからない取引(非課税取引)を定めています。なお、この非課税取引は消費税の「消費全般に広く負担を求める」という性格上、かなり限定されています。

非課税取引には大きく分けて2つあります。1つは消費税の性格から課税することがなじまないもの、2つめは、社会政策的な配慮に基づくものがあります。

消費税の性格から課税することがなじまないもののなかには土地の譲渡・貸し付け、有価証券・支払手段の譲渡、利子、保証料、保険料など、郵便切手・印紙などの譲渡、商品券、プリペイドカードなどの譲渡、住民票、戸籍抄本等の行政手数料、外国為替があります。

社会政策的な配慮に基づく者の中には、社会保健医療、介護保険サービス、第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、助産、埋葬料、火葬料、一定の身体障害者用物品の譲渡、貸し付け、一定の学校の授業料、入学金・入園料・施設設備費、教科用図書の譲渡、住宅の貸し付けがあげられています。

それぞれいくつか具体的にみていくと、消費税の性格から課税することがなじまないもののなかでは土地の譲渡、貸し付けに関して、土地は使用や転売によっても「消費」され、価値が減少するということはありません、したがって譲渡・貸し付けに関しては非課税取引となっています。しかし、土地の売却に伴う仲介手数料は消費行為であり消費税が課されます。有価証券・支払手段の譲渡に関しては、これらの取引は物の消費とはいえず、単に移転・振替と考えられるため非課税となります。郵便切手・印紙などの譲渡に関してもこれらのものは使用し、サービスを享受した段階で消費される物であるため、購入した段階ではまだ現金との両替に過ぎず消費概念にはなじまないとされるため、非課税取引とされています。

つぎに、社会政策的な配慮に基づくもののなかでは、社会保健医療に関しては、医療は国民の生命や健康の維持に関わる物であり国民の理解が得にくいため非課税取引とされています。逆に、非課税取引でない医療費の例を挙げればわかりやすいですが、美容整形に関わるもの、歯科の自由診療、インフルエンザの予防接種は課税取引となっています。これらは生命、健康の維持に関わるものとは認められないため、課税取引とされているのです。他にも一定の額の授業料、入学金・入園料・施設設備費、教科用図書の譲渡に関して、学校教育は国の基幹制度であることからこれらに消費税を課すのは国民の理解が得にくいと考えられるため非課税取引とされています。