決算していない会社が、これから決算をする場合はどうすれば?(必要資料・手続きについて)

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

中央区日本橋の税理士、石橋です。

事情があって、数年間、会社の決算をしていない会社様は多いと思います。

ですが、その後に業績が回復したので、たまっていた決算をやりたい。
そのようなお問い合わせを頂きます。

そこで、数年間決算をしていない会社様が、これから決算をするために、

  • まず何からすれば良いのか?
  • どのような資料を揃えれば良いのか?

について、分かりやすくご説明していきたいと思います。

 会社が決算をしていない場合、どのような問題が発生するかについては、下記の記事をご覧ください。

会社が決算をしないと、どうなりますか?(無申告の場合の問題点)

 

まず何からすれば良いのか?

数年間、決算をしていないということは、今までは税理士先生にお願いしていたということだと思います。

ですので、まずは、前にお願いしていた税理士先生に連絡を取り、
「数年分の決算をお願いします」
と、お声がけすべきだと思います。
(その方が、一番労力が少ないですので)

ただし、決算していないということは、前の税理士先生にきちんと費用をお支払いできなかったということでもありますので、もう一度は、お願いしづらいかもしれません。

その場合は、新しく税理士先生を探すことになると思います。
できれば、どなたから税理士先生を紹介して頂くのが良いかと思いますが、税理士によっては、

  • 数年間決算をしていない会社は受けたくない
    ・・・マジメでないと思い込んでいる
  • お金をきちんと払わないのでは?
    ・・・報酬の一部を前金でお支払いすれば問題ないのですが
  • そもそも、数年間決算していない会社の処理に慣れていない
    ・・・資料がない部分は、税理士の実務経験が問われます

上記のような理由により、数年間分の決算をしようという会社をお断りする税理士先生も多いんですね。

ですから、そのような場合は、最初からインターネットで探してしまうのも、1つの方法だと思います。

インターネットで探す場合ですが、ポイントは次の通りになるかと思います。

(1)数年間分の決算(無申告)を受けてくれるか?

決算していないことを、税理士は無申告(むしんこく)と呼んでいます。
(税務署に、きちんと申告していないという意味で、無申告なんですね)

先程のご説明のとおり、税理士によっては、そもそも無申告の会社の決算を、やりたがらないところが多いんですね。
理由としては色々あるのでしょうが、一番は「マジメでない」と思い込んでいることでしょう。

税理士によっては、言葉は大変乱暴なのですが、
「税理士費用くらい払えない会社なんて、続ける必要はない」
と、お考えの先生もいらっしゃいます。

ですが、(私自身、実家が商売をしているので分かりますが)、商売というのは、まず売上ありきで、経理はどうしても後回しになってしまいます。
売上が下がっている時に、自分の食費を削って、税理士費用を捻出するというのは、ある意味、ありえないですよね。

ですから、ホームページを見たらお電話してみて、税理士の話しや考え方を聞いてみるのが良いと思います。

(2)安すぎないか?

ネット広告等で、
「郵送で資料を送ってくれれば、激安で決算をやりますよ」
というのがあります。

ですが、それはお勧めしません。

理由は「税務調査があるかもしれない」からです。

例えば、3年分たまっている決算を、税理士にお願いするとしましょう。

税理士はお預かりした資料をまとめ、お客様から押印を頂いて税務署に申告書を提出します。

問題はその後です。
税務署は、出された書類を見ます。

特に、期限に遅れて出した書類は重点的に見るでしょう。(何せ、ルールを守っていないのですから・・・)

そうなると、まとめて決算する会社は、普通の会社よりも税務調査の可能性が高まることになります。
そして、万が一、「売上が漏れていた」「経費にならないものが入っていた」とすれば、本来の税金以外に罰金(過少申告加算税)を払わなければなりません。

費用が安い税理士にお願いすると、事務員さんに丸投げして、ちゃんとチェックしません。
(税理士の時給は事務員さんより高いですから・・・)

また、安いと、ある意味、適当に決算書を作りますので、税務調査に来られやすい決算書になってしまう可能性があります。

 決算書で疑われそうな部分(例えば売上が多すぎる、少なすぎるといったこと)があれば、税理士の方が税務署に決算書を提出する際、事情説明等の書面を付ける場合があります。そうすれば、税務調査の可能性が減るかもしれません。ですが、手間と時間がかかります。

ですので、税理士費用で節約できても、追加の罰金がそれ以上になってしまったら、本末転倒です。

よって、相場をお調べになり、ある程度の金額以上の税理士事務所に依頼することをお勧めします。

(3)場所は近いか

数年分の決算をするということは、これから継続的に税理士先生にお願いするということでもあります。

ですので、できれば会社に近い税理士事務所を探すべきだと思います。
(ただし、若い税理士であればメール等で連絡が取れますので、電車で20分~30分程度の距離であれば全く問題ないと思います)

また、数年分の決算をお願いする際は、
「これから、顧問契約をお願いするかもしれませんので、そのときはお願いします」
と、一言、税理士に伝えると良いかもしれません。

 顧問契約が前提であれば、多額になる数年分の決算料も、多少は割引してくれるかもしれませんので・・・。

ここまで、決算していない会社様が、税理士を選ぶ際のポイントについて、ご説明してきました。

なお、気になる税理士先生が見つかったら、早めにお会いすることをお勧めします。
というのも、その税理士事務所が忙しくて、決算をお受けできないかもしれないからです。

何事も早めに動くことをお勧めします。

 

どのような資料を揃えれば良いのか?

決算するためには、どんな資料が必要なのか?
税理士は、どこを見ているのか?

わかりやすくご説明していきたいと思います。

(1)決算書(申告書)

決算書と申告書は、ホッチキス等で一緒に綴じられていることが通常です。

この画像は申告書になりますが、実際は青色用紙で印刷している税理士事務所が多いと思います。
(青色申告しているから、用紙も青色にしましょう、という発想です)

申告書

この申告書が十数枚続き、その後ろに、決算書(決算報告書)が綴じられているかと思います。

決算書(1)

決算書(2)

この決算書(決算報告書)には、会社の営業成績、保有資産がのっていますので、必ず必要になります。

税理士としては、できれば過去3年分の決算書・申告書を頂戴したいです。
(万が一、 紛失してしまっている場合でも、最低1年分がないと、決算できません)

では、本当に全くない場合(紛失してしまった場合)は、どうすればよいのでしょうか?

この場合は、お客様から委任状を頂いて、税理士が税務署に行って、税務署に提出済みの決算書・申告書を閲覧(見てくる)してくることになります。

ですが、税務署はコピーを取らせてくれませんし、写メもとらせてくれません。
全て手作業で、数字を写してくることになります。
とても大変です。

また、税金の時効が5年のため、原則として過去5年分しか写すことができません。
(古い申告書は溶解処理されてしまいますので)

ですので、決算していない会社様は、決算書・申告書を大切に保管しておいてくださいね。

(2)総勘定元帳(会計帳簿)

総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)とは、いわゆる会計帳簿のことです。

具体的には、つぎのようなイメージになります。
(会計ソフトの種類によって、多少イメージが違いますが、概ね次のような形式になります)

総勘定元帳(2).PNG

税理士に記帳をお願いしている場合は、決算が終わった段階で印刷し、税理士がお客様にお渡ししているでしょう。

また、自社で記帳されている方は、自社に紙やデータで保管されていると思います。

こちらも過去3年分程度は頂戴したいです。
(最低でも過去1年分は必要です)

なぜ、必要なんでしょうか?
つぎを確認するためなんですね。

  • 売上や仕入をどのように処理しているか?
  • 経費はどのような科目で処理しているか?
  • 消費税が、かかる売上なのか?経費なのか?
  • 取引の全体像はどうなっているのか?
  • 役員のお給料はいつ変更しているのか?
  • どれだけ会計処理が大変なのか?(税理士報酬の見積もり)

これら以外にも、色々なチェックポイントがあります。
ですから、こちらは必ず探し出してください。
(税務署に行っても保管されていませんので・・・)

なお、税理士によっては、(税理士側で記帳しているのに)お客様に総勘定元帳をお渡ししていない、という方もいるようです。
ですが、税理士が記帳している場合は、税理士がお客様に帳簿をお渡しする義務があります。
ですので、総勘定元帳(会計帳簿)もらっていない場合は、きちんと請求して、もらうようにしてください。

(3)税務署等から届いている資料

税務署から届いている資料も参考になります

例えば、申告書用紙が入っている封筒を見ると、

  • 青色申告か白色申告か?
  • 中間で払っている税金があるのか?

ということが分かります。

また、2年連続で会社の決算をしていない(=税務署に申告していない)会社様は、税務署から「青色申告取り消し通知」が届いているかと思いますので、こちらもお願い致します。

さらには、(税務署にもよるのですが)申告していない場合は、会社がどのような状態にあるのか?(休眠なのか、実質解散状態なのか)という「おたずね」が届いていることもあります。
こちらも税務署のチェック度合いを確認するため、届いていたら税理士にお渡しください。

(4)売上・仕入・経費の資料

業種ごとに違うと思いますが、売上と仕入の資料を、分かりやすくまとめて税理士にお渡しください。

エクセル等にまとめる、取引ごとにクリップでまとめる、色々な方法があるでしょうが、一番悪いのが「紛失する」ということです。

売上・仕入・経費の資料がない場合は、ある程度、推測(すいそく)して決算することになります。

この「推測」が、くせものです。

税務署には、伝家の宝刀があります。
それが、「推計課税(すいけいかぜい)」というものです。

これは、売上資料・領収書等がきちんと保管されていない場合(=紛失してしまっている場合)に、税務署が推定して売上や経費を決めてしまうと言うことです。

青色申告の会社であれば、原則として推計課税されません。
(期限までにきちんと申告している会社は優良会社ですから、そんな乱暴なことはしないんです)

ですが、問題は白色申告の会社です。

2年連続で決算が遅れると、青色申告から白色申告に格下げ?になってしまいます。
この白色申告の段階で、税務調査を受け、そのときに領収書等が保管されていない場合、最悪、この推計課税を受けてしまうかもしれません。

 最近は推計課税の件数も減っているようですが、絶対にないとは言えません・・・。

ですので、数年間決算できない事情がある会社様でも、絶対に上記の資料一式は、捨てないで保管しておいてください!

 

決算していないと、色々な不安があるものです。

当事務所にご相談にお越しになる方は、真面目な方が多いのですが、

「万が一、税務署に強制調査に入られたらどうしよう・・」
「税務署に捕まるんじゃないか・・・」

そのような不安をおっしゃる方も多いです。

確かに、決算しない(=税務署に申告しない)ということは悪いことです。
納税は国民の義務ですから。

ですが、その悪い状態を、正しい状態にしよう!というのですから、とても立派なことだと思います。

最初の方で挙げた関連記事(会社が決算をしないと、どうなりますか?(無申告の場合の問題点))のとおり、会社が決算しない状態で、万が一、税務調査に入られますと、罰金が高くなってしまいます。

 税務署に言われる前に、自分の方から申告すれば、原則として、罰金が安く済むんですね。

 

事情があって、数年間決算をしていないが、これからまとめて決算しよう!とお思いの方は、ぜひ、当税理士事務所にご相談ください。
他の税理士事務所にはないノウハウ、税務調査になりにくい決算(税務署に誤解を受けない決算)を目標に、ご相談者様をサポートさせて頂きます。

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