会社が決算をしないと、どうなりますか?(無申告の場合の問題点)

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

こんにちは。中央区日本橋の税理士、石橋です。

最近、決算していない会社様のご相談が増えてきました。つい最近も、
「事情があって数年間、決算をしておりません。何とかしたいのですが、何から始めれば良いのでしょうか??」
というご相談を頂きました。

当税理士事務所では、数年間、決算をしていない会社様のご相談をお受けしておりますが、そもそも、「決算する」というのが、どのようなことをいうのか、お分かりにならない社長様も多いかと思います。
そこで、本ページでは、次の内容をご説明させて頂いております。

  • 「決算する」とは何か?
  • 決算しないと、どうなるか?(無申告の問題点)
  • 数年間、決算していない場合は、どうやって解決すれば良いのか?

ご参考にされてみてください。

 決算していない会社様が、これから決算をしようという場合は、次の記事を参考にされてください。

決算していない会社が、これから決算をする場合はどうすれば?(必要資料・手続きについて)

 

(平成28年5月14日追記)

決算するとは、どのような意味ですか?

会社は1年ごとに、会計帳簿をつくり、その会計帳簿をもとに、「決算書」を作らなければなりません。
そして、決算書をもとに税金を計算して「(税務)申告書」を作り、税務署に提出して、税金を納めなければなりません。

「決算書を作る」+「(税務)申告書を作る」=「決算する」

要するに、この2つをあわせて、「決算する」、と呼ぶことになっています。

それぞれの内容について、具体的に説明していきましょう。

決算書とは何か?

会社は1年ごとに期間を区切って、会社の営業成績をまとめ、書類にすることが義務づけられています。
具体的には、会計ソフトに売上や仕入、さらには経費を入力し、これをまとめた書類を作成します。
これを「決算書」といいます。
会計ソフトごとに、若干様式が違いますが、イメージは次の通りです。

決算書(1)

決算書(2)

会社の社長様であれば、この様式は既にご覧になったことがあると思います。

この決算書には、会社の営業成績による利益(営業利益)、税金を払った後に手許に残った利益(税引後当期利益)といった、社長様が経営分析をする際に必要な数字が記載されています。
また、銀行が融資の際に真っ先にチェックするのも、この決算書になります。

申告書とは何か?

会社は1年ごとに期間を区切って(これを「事業年度」といいます)、自主的に税金を計算します。
そして、税務署に税金を申告(報告)し、税金を払わなければなりません。
この税金計算の報告書が申告書と呼ばれるものです。

申告書

会社が決算の時に払う税金は、次の種類があります。

  • 法人税(税務署)
    利益にかかる税金
  • 消費税(税務署)
    売りあげた際に預かった消費税から、経費を支払った際に支払った消費税を差し引いて払う
  • 事業税(東京都・県)
    利益にかかる税金
  • 住民税(東京都・県・市)
    利益にかかる税金、固定で払う税金

これらの税金について計算し、それぞれの役所(税務署・都税事務所・県税事務所・市役所等)に申告書を提出します。
提出期限は、原則として、会社の事業年度が終わってから2ヶ月以内です。
(延長届を出せば3ヶ月以内にすることもできますが、消費税は延長できません)
例えば、事業年度を「4月1日~3月31日」にしたとしましょう。
そうすると、「3月31日+2ヶ月=5月31日」となります。

この「決算書を作る」ことと、「役所に申告書を提出する」ことを、合わせて「決算をする」と呼んでいます。

 

決算をしないと何が問題になるのか?

会社の決算をしないと何が問題になるのか?
簡単にまとめてみました。

1.税務署の青色申告が取り消されてしまう

日本では、きちんと期限までに税金を納めている人を優遇する制度があります。
これを「青色申告(あおいろしんこく)制度」と呼びます。
会社を設立した方は、税務署に「青色申告の承認申請書」という書類を出したことでしょう。
この書類は、
「私の会社はきちんと帳簿をつけ、期限までに税金を報告します。だから税金の優遇制度をお願いします」
という書類なんですね。

これに対して、「白色申告」という言葉があります。
これは青色申告をしていない会社です。
具体的には、青色申告の承認申請書を出していない会社や、青色申告を取り消された会社、という意味です。

また、期限までに税務署に申告書を提出しないことを、無申告(むしんこく)といいます。
無申告の会社というと、何か悪いことをしているようなイメージを持たれるかもしれませんが、要するに、期限までに税務署等に(税務)申告書を提出していない会社、ということなんですね。
 

税務署では、青色申告の会社、白色申告の会社、無申告の会社を、きちんと区別して管理しています。
その証拠に、青色申告をしていると、青色の申告用紙が送られてきます。白色申告ですと白い申告用紙が送られてきます。
では、青色申告が取り消されて白色申告になると、どのような問題になるのか確認してみましょう。

(1)会社の赤字が繰り越せなくなってしまう

会社を設立してから数年間は赤字が続く。そんな方もいるでしょう。
ですが、数年後から黒字化するかもしれません。
黒字になったら、利益についての税金を払わなければなりません。

ですが、青色申告の会社(中小企業の場合)は、赤字を最高で9年間繰り越せますので、黒字化して暫くは、税金を払わなくてもよくなるんですね。

問題は青色申告が取り消された場合です。取り消されてしまったら、会社は白色申告になります。
白色申告になりますと、会社が赤字になっても、赤字をためることができない(=今年の赤字を翌年の利益と相殺できない)のです!
これが、会社が決算しない場合の、一番の問題点といえるでしょう。

(2)税額控除といった特典が使えなくなってしまう

利益について税金がかかる。これはご理解頂けると思います。

ところで、会社の税金は経済的配慮、政治的配慮によって、安くなる場合があります。
平成27年現在で税金が安くなる制度は、次のようなものが挙げられます。
(これ以外にもありますが、代表的なものを挙げています)

  • 雇用促進税制
    従業員1人採用につき40万円税金が安くなる
  • 所得拡大促進税制
    給与が毎年増えていれば増えた分の10%安くなる
  • 機械装置の特別控除
    原則160万円以上といった一定の機械装置等の購入金額×7%の税金が安くなる

これ以外にも、税金が安くなる制度がありますが、これらも青色申告であることが条件なんですね。

(参考)どれくらい遅れると青色申告が取り消されるのか?

申告書を期限までに税務署に出さないと(無申告だと)、青色申告が取り消されて、白色申告になってしまいます。
では、どれくらい遅れると青色申告が取り消されるのでしょうか?

答えは、「2年連続で遅れると青色申告が取り消される」です。

根拠は、税務署の事務運営指針の4(無申告又は期限後申告の場合における青色申告の承認の取消し)にあります。

言い換えると、1回まで遅れてもセーフなんですね。
中小企業の社長様は、色々なご事情があると思います。
取引先開拓のために走り回り、資金繰りにも奔走する・・・。
ですから、申告が遅れる方(無申告になってしまう方)もいるでしょう。

ですが、2回連続で決算(申告)が遅れたらアウト!。これだけは覚えておいてくださいね。

2.税金の罰金がかかってしまう

税金は期限までに払わないと罰金がつく。これは皆さん、ご存じでしょう。
ですが、罰金が具体的にいくらになるか、そこまでご存じの方は少ないと思います。

罰金の計算は難しいのですが、申告書の提出が期限から1日でも遅れますと、本来の税金の約5%~約20%が、いきなりかかります。
これを「無申告加算税(むしんこくかさんぜい)」といいます。

この無申告加算税ですが、税務署から言われる前に提出した場合と、言われた後に提出した場合とでは、罰金の率が違います。
具体的には、税務署に言われる前に提出した場合は原則5%、言われた後に提出した場合は、原則15%~20%です。
ですので、税務署から連絡が来る前に決算した方が(申告書を提出した方が)、被害が少ないと言えますね。

さらには、税金の支払いが遅れますと、延滞税(利息)を払わなければなりません。
利率は約3%~約9%です。

罰金を払うのは馬鹿馬鹿しいですから、期限に遅れないようにしましょう。

3.銀行の融資が受けられなくなってしまう

これから銀行で融資を受ける、既に銀行で融資を受けている、といった会社もあるでしょう。

銀行は、融資と受けるときや、決算が終わったときに、
「申告書(または決算書)一式を持ってきてください」
と言います。

銀行は、経営成績を見て、会社を格付けしているんですね。
優良ランク、危険ランクといったようにです。
それを判断するために、申告書一式を持ってきてくれ、と言うんですね。
(申告書には、決算書も挟まれています)

ここでの申告書は、税務署の収受印(受付スタンプ)が押されているものでなければなりません。
銀行に収受印のある申告書を出せない場合、新規融資は受けられないでしょう。
(銀行は「きちんと決算して税務署に申告書を出してから融資申し込みをしてください」と言うでしょう)

ですから、銀行と取引のある方、取引する予定の方は、きちんと決算をして、申告書を税務署に出す必要があります。

4.役所からの許認可を受けるために決算書が必要な場合がある

宅建業や建設業を営んでいる会社様は、役所から許可・認可(合わせて許認可と呼びます)を頂いて、お仕事をされているかと思います。

この許認可を役所からもらうためには、会社の決算書が必要となることがほとんどです。
というのも、役所は、
「この会社は、きちんと利益が出ている会社、安定した業績を出している会社なのか?」
と、チェックするからなんですね。

必要な決算書の様式、期間は、役所の許認可ごとに違います。
ですが、多くの許認可が、最新の期間が含まれる決算書が必要となりますので、きちんと決算していませんと、許認可の新規取得や更新ができません。

そうすると、会社は、その許認可のお仕事ができず、最悪、倒産してしまうかもしれません。
ですので、大変であっても、お忙しくても、決算をしなければなりません。
 

何年前まで決算ができるのか?

会社がピンチだった、ご家族の問題があった・・・
色々な事情で会社の決算を数年間されていない方もいるでしょう。

だが、事業を再開する、銀行から融資を受けたい・・・。売上が回復してきたから、貯まった分の決算をきちんとやりたい。
そのような理由で過去数年分の決算をするといった方もいるでしょう。

実際、当事務所でも、そのようなご相談やご依頼を頂くことがあります。

結論からいいましょう。

税務署へは、過去5年前までの申告書を提出することができます。
(正確には、5年前までしか出すことができない、ということです)

税金には時効があります。
例えば、税金を10年間払っていなかったとしましょう。
その場合、税務署は5年前の分までしか取り立てられないんですね。
(重大な犯罪の場合は時効が7年になる場合がありますが)

申告書とは、税金の計算書であることをご説明しました。
そうなると、税金の時効は5年なんですから、当然、申告書も5年前までしか出せないんですね。

では、10年もの間、決算をしていない場合はどうするか?
その場合は、10年分をまとめて会計ソフトに入力し、決算書を作ります。
そして、申告書も10年分作るのですが、税務署には過去5年分だけ提出します。

ちなみに・・・。税務署に10年分提出すると、どうなるんでしょうか?
10年分持って行くと、税務署窓口で「5年分しか受け取りませんよ」と言われてしまいます。

また、最近は、受付をアルバイトの方がされていますので、間違って10年分を受け取ってしまうこともあるかと思います。
そのときも、後日、税務署より電話がかかってきて、「6年前~10年前の分を取り下げてください」と言われてしまうでしょう。
気をつけたいものです。

 

会社が決算しなくなるのは、色々なご事情がおありなのでしょうが、一番多いのが
「お金がない(利益があがらない)」
といったことでしょう。
会社が数年間苦しくなり、税理士先生へ払うお金がなく、税理士先生が離れて行ってしまった・・・。

ですが、先程のご説明のとおり、会社が決算をしないと色々な問題が出てきてしまいますので、何とか解決して頂きたい。本当にそう思います。

ところで、最近、この記事をご覧になったという方からの、ご相談、ご依頼が増えてきました。
その中で、数年分の無申告の作業が終わった、ある社長様から、次のようなお言葉を頂きました。

「色々と検索しましたが、石橋先生の記事が一番分かりやすかったので、最初にご相談に伺いました。
他の税理士先生のホームページは、決算しないと、とにかく大変なことになる、という脅し?のメッセージばかりで、具体的な事が書かれていませんでしたので・・・。
石橋先生に実際にお会いして、色々と分かりやすくご説明頂いて、大変助かりました。今後ともよろしくお願いします。」

このお言葉を頂戴したときは、大変嬉しかったです。今後の糧とさせて頂きたい。そう思いました。

当事務所では、事情があって、数年間決算していない、申告していないという方のご相談をお受けしています。
まずは、お気軽にお問い合わせください。

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